メール

10月の娘の誕生日が近づく頃には大騒ぎで日に何十通もメールを送りつけ、自分の祖母が亡くなったときはこともあろうに遺影を写メで送ってよこした(瞬時に消去した)半ばストーカーと化していた元旦那からぴたりと連絡が途絶えてかれこれ3ヶ月になろうかとしている。1ヶ月に3回までと許した娘の携帯への連絡も全く音沙汰なし。精神と肉体に病を抱え結婚生活の三分の一ほどは入院生活を送っていた彼のことだからまた病院暮らしをしているのかもしれない。入籍して2ヶ月もたたないうちに急性肝炎で入院したのがはじまりで、慢性肝炎、慢性肝炎の増悪、肝硬変と面白いように症状は進み、その間にも骨折、最終的には狂言じみた自殺未遂で精神科へ。まさしく転落の詩集である。激情家で思い込みの激しい彼は反面人付き合いがよく話し好きで友人は多かった。つまりはハプニングの多い変わった奴として面白がられていたのだろう。結婚生活中は奇行の数々に泣かされたものだがあれは常に酩酊していたのかもしれない。
彼の最後の入院中に家財道具一切持ち出して娘と実家に向かう空港から入院先の病院に別れの電話を入れた。閉鎖病棟に入れられていた彼には何一つできることはなかった。

春を迎えるころ生きて退院できたとしたらまたメール攻撃がはじまるのだろうか。