深夜に思い出すこと

最初に結婚した男は信じ難い程社会に適合することができず、それでも学生時代は多少勉強ができたおかげでそれなりの人生を過ごせていたようだが、大学卒業後は会社にも家庭にもその身を置くことができなかった。人に迷惑をかけることで愛情を確認しているような彼の素行はいつも周囲を振り回し疲弊させた。醜態を幾度となくさらしても恥じ入るそぶりは見せず尊大な態度を崩さない彼を心の底から憎み、家中から彼の付属物を消し去る想像を幾夜となく繰り返した。スーツやセーター、下着、靴、本。彼自身。